Top >
>
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
-------------------------------------
最後に残ったゴーストをいつものように倒し、静かになった工場にぼんやりと立ち竦む。
まだ足りない、こんなものじゃ強くなんてなれない。このままでは、また……。
「……。」
いつもなら撥ね除けるはずの思考は胸に留まり、消化できずに眉を顰める。
それでも思考は止まらず、後悔が募ってくばかりで。
勝てると信じて立ち向かったが叶わず、敵の強さを見せ付けられた。
無力な自分が虚しく、大きな傷すら受けずに帰って来た自分が憎い。
いっそ倒れるまで、無理だと判るまで戦えばよかったのだろうか。
そもそも俺にそんな勇気も力も何も無かったんだ。俺は強くなんてない。
助けたい、力になりたいと思うだけで、俺は出来ていないのかもしれない。
どうすればいい、どうすれば強くなれる、こんな俺じゃ無理なのだろうか。
強くなっても俺には無理なのかもしれない。
俺なんか 俺なんか 俺なんか 俺なんか 俺なんか
「っ!……くそっ!!」
幾度と頭を過ぎる言葉を強引に打ち消すように漆の杖で足を突き刺す。
「――っ!!」
激痛に上げてしまいそうな声を唇を噛み締めて飲み込み杖を引き抜く。
痛みに震える足は耐えられず膝を付き、そのままコンクリートの床へ倒れる。
「はぁ……はぁっ、……っ、う……ぐ、ぁ……。」
頬に伝わるコンクリートに頭を冷やされたのか、頭に上った血が流れたからなのか
除々に冷静になっていく頭から真っ先に自嘲の言葉が浮かぶ。
「ふ、ふふ……何を、やっているんだろうな……。」
自分の行為があまりにも馬鹿馬鹿しく、笑いながら蹲って太股の傷を手で押さえる。
こんな事をしても一日も経たず癒えてしまうのだろう。
共に戦った者達が受けた傷と比べたら、こんなものずっとずっと軽い。
先を血で塗らした杖を眺めながら自分を戒め、ふと何かを感じた手の方を見遣る。
「……。」
相棒が傷口を癒す姿に言葉を失う。俺が何をやっていたか知っているはずなのに。
そうだ、どんな時だってお前は俺の味方だったな。
その体を優しく撫でれば、いつもと変わらない様子でこちらを見つめ返す。
手を伸ばせば腕を伝うように上り、胸元へ納まると慰めるように擦り寄る。
縋り付きたい思いと、込み上げる愛しさに目頭が熱くなって慌てて目を瞑り堪える。
柔らかい毛を撫でている内に、先程の激情はいつの間にか治まっていた。
大丈夫、まだ戦える。まだ、立っていられる。
-------------------------------------
最後に残ったゴーストをいつものように倒し、静かになった工場にぼんやりと立ち竦む。
まだ足りない、こんなものじゃ強くなんてなれない。このままでは、また……。
「……。」
いつもなら撥ね除けるはずの思考は胸に留まり、消化できずに眉を顰める。
それでも思考は止まらず、後悔が募ってくばかりで。
勝てると信じて立ち向かったが叶わず、敵の強さを見せ付けられた。
無力な自分が虚しく、大きな傷すら受けずに帰って来た自分が憎い。
いっそ倒れるまで、無理だと判るまで戦えばよかったのだろうか。
そもそも俺にそんな勇気も力も何も無かったんだ。俺は強くなんてない。
助けたい、力になりたいと思うだけで、俺は出来ていないのかもしれない。
どうすればいい、どうすれば強くなれる、こんな俺じゃ無理なのだろうか。
強くなっても俺には無理なのかもしれない。
俺なんか 俺なんか 俺なんか 俺なんか 俺なんか
「っ!……くそっ!!」
幾度と頭を過ぎる言葉を強引に打ち消すように漆の杖で足を突き刺す。
「――っ!!」
激痛に上げてしまいそうな声を唇を噛み締めて飲み込み杖を引き抜く。
痛みに震える足は耐えられず膝を付き、そのままコンクリートの床へ倒れる。
「はぁ……はぁっ、……っ、う……ぐ、ぁ……。」
頬に伝わるコンクリートに頭を冷やされたのか、頭に上った血が流れたからなのか
除々に冷静になっていく頭から真っ先に自嘲の言葉が浮かぶ。
「ふ、ふふ……何を、やっているんだろうな……。」
自分の行為があまりにも馬鹿馬鹿しく、笑いながら蹲って太股の傷を手で押さえる。
こんな事をしても一日も経たず癒えてしまうのだろう。
共に戦った者達が受けた傷と比べたら、こんなものずっとずっと軽い。
先を血で塗らした杖を眺めながら自分を戒め、ふと何かを感じた手の方を見遣る。
「……。」
相棒が傷口を癒す姿に言葉を失う。俺が何をやっていたか知っているはずなのに。
そうだ、どんな時だってお前は俺の味方だったな。
その体を優しく撫でれば、いつもと変わらない様子でこちらを見つめ返す。
手を伸ばせば腕を伝うように上り、胸元へ納まると慰めるように擦り寄る。
縋り付きたい思いと、込み上げる愛しさに目頭が熱くなって慌てて目を瞑り堪える。
柔らかい毛を撫でている内に、先程の激情はいつの間にか治まっていた。
大丈夫、まだ戦える。まだ、立っていられる。
-------------------------------------
PR